ソラシドエアは危ない?安さのカラクリをあばく!

ソラシドエアは安すぎて、安全性が大丈夫なのか気になりますよね。私もそうでした。しかし今では数カ月ごとに搭乗するほどのソラシドエアのファンです。その安さのカラクリは機体とサービス、そしてシステムにあります。

LCCのように機体が古かったり、何かと有料サービスが多いのかと言えば、それもありません。ANAやJAL同様に20㎏まで預入荷物は無料ですし、座席指定や機内ドリンクサービスにも料金がかかりません。ソラシドエア便はANAと共同運航をしており、ANA便として予約してソラシドエアに搭乗するお客さんもいるくらいです。提供されるサービスはほとんど同じで安心して乗ることができます。この記事ではソラシドエアの安さの理由を解説しています。

ソラシドエアの乗り心地

シートの大きさは大手航空会社と同水準

九州にはその昔スカイネットアジアというLCCが就航しており、私も実際に数回利用したことがあります。学生の頃でしたし、どのみち1時間半ほどのフライトなのであまり快適さは重視していなかったのですが、「真夏のフライトで入口でCAさんにうちわを渡される&微妙に暑い客室」という経験から以後乗ることはありませんでした。(LCCの経営努力は凄まじいですね…!)

それ以降はより安くANAに乗るためにマイルを貯めたり格安チケット会社を利用したりしていましたが、ある時「ソラシドエア」という見慣れない航空会社を目にします。調べたら、紆余曲折のうちにスカイネットアジアが社名変更した会社だとわかりました。(ソラシドエアの航空会社コードが「SNJ」のままになっているのはその名残です。)

LCCではないとのことでしたが、安すぎるのが不安で私は敬遠していたのですが、なんとある日うちの60代の母が九州からソラシドエアで羽田に来たのです。それも、セール価格「ソラシドスペシャル」を利用して片道4500円(当時)で。びっくりして乗り心地を聞くと「何も問題ない。安くて良かバイ。」とのこと。

高齢かつ普段飛行機に乗り慣れない母も支障なく乗れて、しかも安い。それ以来、私も毎年2~4往復利用しています。娘が生まれてからは子連れで乗っており、1歳半で初めて乗った際には何故か離陸前にストンと寝て着陸までスヤスヤでした。ソラシドエアは「12歳までのお子さま連れは優先搭乗OK」という他社にないサービスもあり、赤ちゃんからシニアまで快適な空の旅を楽しめます。

ソラシドエアの安さのカラクリ

ソラシドエア機

何故ソラシドエアは安く乗れるのか。過剰なサービスを省き、効率的な経営によりリーズナブルな価格を実現しているからです。LCC(ローコストキャリア)ではなく、MCC(ミドルコストキャリア)と呼ばれるソラシドエアの安さのカラクリは以下の通り。

①使用する飛行機を統一

ボーイング737-800機

利用している機体を全て、ボーイング737-800型という小型機に統一していることが大きいです。小型機であることで必要なCAの人数も少なくてすみますし、統一することで操縦するパイロットの免許もメンテナンスに必要な部品も統一。もちろん同じ機体という事は、操縦やメンテナンスの習熟度も上がりやすく人材育成の面でも効率化が可能です。

このボーイング737-800型は1997年に製造が開始され、JALもANAも主に地方路線で飛ばしているスタンダードな機体。では古いのかと言えばそうでもなく、ソラシドエアが使用している14機は全て2011年以降に登録された新造機です。飛行機は日常的にメンテナンス・部品交換するため、一般的に耐用年数は25年ほど。まだまだ新しい機体です。

スタンダードな機体で、耐用年数まで余裕があり、しかも保有する全機体を統一することで操縦やメンテナンスも精度があがる。それがソラシドエアが高い安全性を保ちつつ、安く飛行機を飛ばせる秘密です。実際にソラシドエアのメイン路線は台風の影響を受けやすい九州路線にもかかわらず、就航率(欠航にならずに飛んだ率)と定時出発率は驚異的に高い比率を保っています。

②サービスの選択と集中

空港ラウンジイメージ

ソラシドエアは「マイレージサービスにおける上級会員向けのサービスがない」です。会員向けのラウンジを設置してお酒や食事を提供したり、優先搭乗や預け入れ手荷物の優先返却など、上級会員向けのサービスは航空会社としてはコストになります。そしてそれが全員の運賃に載せられているはず。ソラシドエアは上級会員のシステムがほとんどないためこれらのコストがかかっていません。(実際にはANA経由で予約した上級会員のみ利用可能ですが、ANA経由だと運賃が高いためソラシドエアにはかかっていないと思います)その反面、預け入れ手荷物や座席指定、ドリンクサービスなどすべてのお客様が利用するだろうサービスは無料で、非常に合理的です。

個人的にはWifiがないことと、お子さま向けのおもちゃサービスが少し簡素なところに大手航空会社との差を感じています。しかしそれで片道運賃1万円前後の差になると考えれば、自前で事前準備することに何ら問題ありません。1時間半程度と短時間の話ですし、事前に本や動画をダウンロードしたり、おもちゃは事前に100円ショップの豊富な商品の中から買っておけば良いのです。

↑アンパンマンがダウンロードできるためかなり便利です

③ANAのシステムを活用

保安検査証と搭乗券

ソラシドエアはANAのグループ企業のため、ANAのシステムを活用しています。自社でシステムを0から開発しなくて良い分、大きなコストはかかっていないはずですし、お客様側から見てもANAと同じ画面遷移で利用できるのでありがたいです。

デメリットとしては(滅多にない事ではありますが)2023年4月1日のANAシステムダウンの際はソラシドエアも一緒にダウンしました。私は偶然それに巻き込まれてしまいましたが、ソラシドエアの地上職員の方がアナログ手作業で何度もカウントし、保安検査通過後の黄色い紙の下部分を控えとして定規(テロ対策でハサミではないのかも?)で切り離していました。普段意識したことがありませんでしたが、黄色い紙の最下部には氏名や便名・座席番号など必要なことが全て小さく書かれているんですね。あまりにスムーズな対応で、システムトラブルの際のアナログ対応のマニュアルがしっかりしているのだなと驚きました。

通常時も非常時も安心して乗れる航空会社の一つが、ソラシドエアです。

ソラシドエアは危ない?安さをのカラクリをあばく! まとめ

ソラシドエアはその安さからLCCと誤解されたり安全性が心配になったりしますが、まったく問題ありません。保有する機体の種類を統一することでパイロットの免許やメンテナンスの部品を統一。操縦やメンテナンスの習熟度も上がりやすく、人材育成の面からも効率的です。乗客サービスに関しても、座席の広さや預け入れ手荷物の容量、座席指定、ドリンクサービスなど、搭乗するすべてのお客様に関わる部分はANAと同じ。上級会員向けのサービスがないことで、その分の余分な経費を抑えています。予約システムはANAのものを活用しており、予約も変更もキャンセルもWEB上でスムーズにできます。